大河ドラマ:龍馬伝
今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」、まだ2話目でリズムが読み取れていないが、妙な違和感を感じる。私は元々歴史が苦手な方で時代背景とか全然分からないのだが、土佐藩については少しだけ興味があって調べたのだ。
龍馬伝第一話でも出てくる様に、土佐では武士という身分でありながらも、上士と下士の差が激しく、下士は武士の差別化目的で作られたものと感じている。上士は下士の存在によって自分達が優位に立っているという満足感が得られる。土佐藩という権力に従順に従わせようという意図が見える気がする。
第二話では、百姓から下士は蔑まされている存在だとののしられるシーンがある。言い換えれば中間管理職みたいなもので、上からは圧力をかけられ、下からは疎まれ、嫌な役目を背負わされるという、現代のサラリーマンの役職みたいなものをこの時代から取り入れていた土佐藩は、妙な知恵の回る者が取り仕切る藩だったのではないかと思う。
そこでこの龍馬伝なのだが、その身分差別的な描写にどうも統一感というか説得力に欠けるイメージを感じるのだ。下士はもっともっと窮屈な立場で苦渋を飲まされながら生きるしかない、そんな身分だったと理解しているのだが、龍馬が「江戸に行きたい」などと軽はずみに発言すること。土佐藩では藩内で生きる者は奴隷も同様。土佐から出る事が簡単に許されるハズが無く、こんな事を軽はずみに人目の有る場所で言える訳が無いのだ。もしもこんな発言が上士に知られたらひとたまりも無かったハズである。
NHKが一年もの時間と大金をかけて制作する大河ドラマゆえ、脚本への監修やらしっかりされているとは思うが、この辺りのもっと暗い、圧迫感、束縛などというイメージがしっかり描かれていないのは、お茶の間に対する明るいイメージを大切にする配慮なのだろうか?だとしたら史実とはかなり違う脚色がなされていると言わざるを得ない。当時の土佐藩で下士はもっともっと虐げられて生きてきた。そんな屈折した環境から坂本龍馬という人物が出てきたという事自体が驚くべき事なのだから、もうちょっと史実を忠実に描写して欲しかったと思う。なんだか龍馬という人物は単なる変わりものだっただけだという印象を受ける。土佐藩は日本の中でも特殊だったと言う点をもっと明確に描写すべきだろう。
幼少期のシーンが第一話で終わっている事から、ストーリー的に重視されていない事は感じ取れるが、この大河ドラマでは坂本龍馬という人物が生きた時代の、どの部分を重視しているのだろうか?と現段階では気になって仕方がない。幕末の時代を命がけで生きた志士達の姿をどこまで描写出来るのか?本気で描写するならば、京都での荒れまくった時代も描かなくてはならないハズだ。(龍馬側から描くなら英雄集団とされる新撰組は確実に悪者になるであろう)
確かに立場的にどこまで描くかのバランスが難しいとは思う。過去にも名作とされる歴史的士人を描いている事から偏った見方、表現が出来ないという事も分かる。しかし多くの人が目にするであろう大河ドラマは史実に対する忠実さも重要だと私は思っている。ぶっちゃけえげつない事が横行した時代である。まさに命をかけて戦った訳であるからして騙し合い、殺し合いそんな泥沼だったハズである。また当分先だが京都での武士同士の殺し合いはどこまで描写されるのだろうか?史実が確かなら京都は血の町だっただろう。
もっぱら京都は風情のある町だとされているが、史実が確かなら日本国内でも最も怨念やらそういうものが強い忌み嫌われる町と言わざるを得ないだろう。京都に住む人達の特徴などもほぼ間違いなく歴史的な流れから来ていると思う(具体的には流石にかけませんが・・)。きっとそこまで描くことは出来ないだろうな。そう考えると土佐藩の身分差別についても軽く流さざるを得ないと言うところか・・・
さて大河ドラマで歴史に興味を持つ人が増える事は良い事だと思う。だがそこからは史実をもっと忠実にと調べる努力が必要になるだろう。私の主張としてはNHK大河ドラマは、史実を元に脚色していると言うことを明示すべきだと思う。コレを見た人が当時はこうだったんだ!と思いこまないように。史実を元にしたフィクションであると書いた方が誠実かも知れない。
歴史物は本当に奥が深いし、多くの節があるので何時の時代も誰にも本当の事は分からない。私が必要以上に歴史に興味を持たないのはそういう事も有るのかも知れない。過去の事から何かを学ぶという事が出来ればそれで十分なのかも知れない。
ちなみに私は学生時代に歴史は最悪の点数を取ったことがある。年号と起こった事を覚えるなんて無意味だと思ったし全く興味が無かった。暗記したって何の役にも立たないと思ったから(それ自体が本当に正しいと誰が言い切れる?)。歴史物は本当に奥が深いが結局は自分にとって、人生にとって何かヒントが得られる。そんなもので十分なのかも知れない。
テレビで歴史的人物に興味を持った人は、是非更に突っ込んだ学習をして自分なりの解釈をして欲しい。きっと矛盾点やら解釈の違いに違和感を感じる事が多くなるだろう。そしてその答えがどこにも無い事に結論が行き着く。それでも人生においてヒントが得られればそれで良いと思う。
今年の大河ドラマ、どれだけのものを見せてくれるのだろう。既に撮影はずいぶん先に走っているので今更撮影済みの部分が変更される事は無いと思うが、坂本龍馬という歴史的人物の中でも人気者を描く訳だから手抜きは出来ないだろう。少しだけ期待しながら見させて貰おう。
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